劇症型溶血性レンサ球菌感染症

最近テレビなどでも耳にする劇症型溶血性レンサ球菌感染症の患者数。その致死率が3割、つまり感染した人の10人中3人が死亡するという確立になるのですが、東京では去年に比べて3倍以上に増加しているこについて、一体何が原因となっているのか研究者の内容を紹介していきます。

セントラル・ランカシャー大学医学部副主任コリン・ミッチー氏によると、日本では記録的な水準で広まりを見せている劇症型溶血性レンサ球菌の感染症(STSS)について完全に理解はされてないものの、記録的な水準については新型コロナウイルス対策が解除されたことによる反動だとみています。

Strep A: cases of rare fatal infection hit record levels in Japan – here’s what risk these bacteria pose to global health
https://theconversation.com/strep-a-cases-of-rare-fatal-infection-hit-record-levels-in-japan-heres-what-risk-these-bacteria-pose-to-global-health-226761

この傾向はイギリスなど多くの国でも同様の傾向を見せており、毎年右肩上がりで増えていた感染者数が新型コロナの流行で右肩下がりとなり、コロナ禍前まで戻ったということになります。

▼感染者数。新型コロナの流行で減ったものの再び上昇した(西日本新聞)
劇症型溶血性レンサ球菌感染症 感染者数

感染は?

こす細菌、A群溶血性レンサ球菌については実は健康な人でも多く見つかっており無症状で感染している人は5~20%とされています。つまり100人中5~20人が普段から持っているということになります。たとえ病気を引き起こさないとしても接触、咳、くしゃみを通じて知らないうちに他の人に広がる可能性があります。

一般的に学校といった混雑した空間で感染者と濃厚接触すると広まることがあります。発症については宿主防御力の低下によって引き起こされる可能性があり、連鎖球菌性咽頭炎、扁桃炎、皮膚の膿痂疹など局所的で短期間の感染症を引き起こします。

そして稀ながら切り傷や創傷から軟部組織や筋肉の奥深くに広がることで壊死性筋膜炎という「人食い病」を引き起こすことがあります。連鎖球菌は状況によっては組織内の免疫細胞を活性化する免疫活性化毒素を放出しSTSS を引き起こす可能性があります。

STSS

この症状については最初に発熱、筋肉痛、吐き気を訴え、その後混乱したり眠くなったりすることがよくあります。低血圧が続き手足の冷え、心拍数が上がり呼吸も速くなります。血圧が低下すると症状が現れてから通常24~48時間後に臓器が機能不全に陥り死に至ります。
STSSの死亡率は高くすぐに集中治療室に入院した若い患者では5%から高齢者では最大70%に達します。特に糖尿病やアルコールなど問題を抱えている人の致死率は他の病気と同様に高くなります。

劇症型溶血性レンサ球菌による死者数は年間50万人以上いるとされています。身を守ることは簡単です。マスクの着用、手洗い、人混みの回避など新型コロナ時に行なった習慣の多くが感染症の回避に役立ちます。

*抄訳したものを掲載しています。医学的な内容につきましては必ず医師の説明を受けてください。

参考:劇症型溶血性レンサ球菌感染症とは