マンタ型無人水中探査機_1

F-22を開発したノースロップ・グラマンが設計・製造したのは非常に珍しい平らな無人水中探査機UUV。この水中ドローンはDARPAとの契約で開発したもので今後米海軍とテストすると報じられています。

2024年2月と3月にすくなくとも2度試験されたと発表されたのは巨大なマンタ型無人水中探査機 (UUV) です。南カリフォルニア沖で水中試験を実施したもので先日アメリカ国防総省傘下の国防高等研究計画局(DARPA)により機体が公開されました。

Manta Ray Underwater Drone Even More Enormous Than We Thought
https://www.twz.com/news-features/manta-ray-underwater-drone-even-more-enormous-than-we-thought

DARPA によると公開された写真として水中テストでは「浮力、プロペラ、操縦翼面など船の推進とステアリングのすべてのモードを使用した水中・海上での流体力学的性能が実証された」としています。つま探査機として正しく動くか動力試験を実施したということになります。

マンタ型無人水中探査機_4

見出しでも紹介したようにノースロップ・グラマンがDARPAと契約し仕様を満たす基準で開発されたものとみられ、その設計思想は直訳で「超長距離ペイロード対応UUVの重要技術を実証することなど」としています。
具体的に何を指すのか。

マンタ型無人水中探査機_3

DARPAのマンタプログラムマネージャーであるカイル・ワーナー博士は「マンタ試験の成功によりこの機体がモジュール式のサブセクションから現場で迅速に組み立てられ、運用できるよう準備できていることが検証されました」「国境を越えたモジュラー輸送、現場での組み立て、展開の組み合わせにより、超大型UUVとしてはこれまでにない能力が実証されました」としています。
つまりこの機体は組み立て式の無人探査機であり、航行速度の遅さ解消し迅速に調査を開始できるようような設計となっていると考えられます。記事ではそれ以外の利点として、基地から数百km~数千kmも移動する必要がないため燃料を削減することができるとも記載されています。

その性能については、ノースロップ・グラマンによると「人間が立ち入ることのできない海洋環境での長期間の長距離ミッション」を実行できるように設計されているとし、重要な部分として海底で低電力状態で冬眠できる追加の省エネ技術、ノースロップが再生可能エネルギー会社『シートレック』と協力して開発したエネルギー生成技術が入っているとのことです。

▼翼の両端にプロペラを備える。写真ではお腹側(底)の写真が無いことから何らかの装置が付いていると考えられる。
マンタ型無人水中探査機_2

このような機体は通常は魚雷や潜水艦のような形状をしているのですがそうはなっていません。『海底で低電力状態で冬眠できる』という理由からこのようなマンタやエイのような平たい形状になったとも考えられるのですが、潜水艦は通常は円柱となっており高い水圧に耐える構造になっているのですがこちらの機体はそうではないことを考えると比較的に浅い沿岸地域での活動が予想されます。

このマンタ計画についてはPacMar Technologies、ノースロップ・グラマン、ロッキード・マーティンがDARPAと契約を獲得しており、最終的に1社に絞り試験運用を進めるということになります。