image60

脱プラスチック、最近ではSDGsなどとプラスチックの削減が積極的に行われています。特に袋をより環境に優しい紙袋にするなど対策をおこなっている企業があるものの、実際にどのくらい紙袋は環境に優しいのでしょうか。

独国際放送局ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトはこのほど、「紙袋がプラスチック袋より環境に優しいとは限らない」とする記事を掲載した。

記事は、多くの消費者が紙包装についてプラスチックよりも環境に優しいと考えており、プラスチックに比べてリサイクルしやすいのは事実であるとする一方で「だからといって紙が環境コストを伴わないということにはならない」と指摘した。

RecordChina
プラスチックの袋、つまりプラスチック素材を原料に作られているポリ袋やビニール袋を指すものになるのですが、産業がシフトしている一方で本当にエコになっているのかという疑問があります。

国際エネルギー機関(IEA)によれば2022年に世界の工業による温室ガス排出量の2%足らずだった紙パルプ産業の温室効果ガス排出量はプラスチック包装から紙包装へのシフトに伴う紙の生産増によって現状としては増えているとしており、今後2030年までに更に増えていくだろうと予想されています。

紙袋の原料パルプについてもこれを生産するには森林破壊が必須でり、プラスチックよりも重い紙包装を輸送する際のトラックによる温室効果ガス排出量増加、耐熱性を持たせるためにビニールでコーティングされた紙コップの出現などの問題はあるとしています。

また再資源化についても問題があり紙はリサイクル原料からも容易に再生することができるもののリサイクルされた紙製品の品質は元の製品よりもはるかに低く、インクや化学汚染物質などの不純物を含んでいることがあります。ただしこれはプラスチック製品も同様です。

ドイツメディアによると「あらゆる要素を考慮すると、環境への配慮という点で紙がプラスチックより優れている、あるいはプラスチックが紙より優れていると断言するのは難しい」としています。

特に紙は耐久性が低い特徴があり交換の手間も増える可能性があります。それを回収するにもエネルギーを消費し再資源化にもエネルギーを消費します。個人での再利用もかさばるなどして利用が難しい場面があります。ただし環境に放たされた時に長期間分解しないプラスチックと自然に戻る紙とは環境に与える影響は大きく異なっており、この点が環境に優しいと言われる大きな点になっています。