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数十分前に食べたご飯も忘れてしまう人、90歳を超えても元気で一人暮らしをしている人…双方の脳にはアルツハイマーを引き起こす何かが多い少ない、または除去されているということになるのですが、科学的にアルツハイマー病、認知症を患わない人の脳には一体何が起こっているのでしょうか。

オランダ神経科学研究所の科学者が率いる研究チームが行ったもので、脳疾患で亡くなりその後、寄贈していただいた5,000人以上の脳のサンプルを調査しました。これらは全てオランダ脳バンクに保管されている脳組織ということになります。

Some People Are Strangely Resistant to Alzheimer's. Here's What Makes Them Different. : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/some-people-are-strangely-resistant-to-alzheimers-heres-what-makes-them-different

Gene-expression profiling of individuals resilient to Alzheimer's disease reveals higher expression of genes related to metallothionein and mitochondrial processes and no changes in the unfolded protein response | Acta Neuropathologica Communications | Full Text
https://actaneurocomms.biomedcentral.com/articles/10.1186/s40478-024-01760-9

研究チームによるとその何千ものサンプルの中から死亡前に認知能力は健康であったものの、病気の根底にある病理の明らかな神経学的兆候を示したサンプルをわずか12人だけ発見したといいます。これが今回アルツハイマー耐性がある人の脳サンプルです。

オランダ神経科学研究所の神経科学者、ルーク・デ・フリース氏は「私たちは脳組織に異常があっても認知機能の低下が見られないドナーをバンクで探しました」といい「これらの人々の分子レベルや細胞レベルで何が起こっているのかは明らかではなかった」とのことです。

このサンプルを研究したところ、脳内の老廃物(アミロイドβ?)の除去に関与するアストロサイト細胞に関連する回復力のある脳の重要な違いを発見したとしています。回復力のある12人の脳はアルツハイマー病の発症に関連する有毒なタンパク質(アミロイドβ?)を除去する能力に優れている可能性が示唆されており、これらの脳は神経系のゴミが蓄積するのを防ぐ能力に優れているとしています。そして回復力のある脳の細胞ではエネルギー生産がより効率的だったことも示されました。

今回の研究からこれらの違いの背後にあるものや違いがアルツハイマー病とどう関係しているのかはまだ明らかではないものの、違いが何であるかを特定することは重要な第一歩となるとしています。

デ・フリース氏によると「回復力の分子的基礎を発見できればアルツハイマー病患者の回復力に関連するプロセスを活性化できる薬剤開発の新たな出発点が得られる」とのこと。

ただし一方で現在もアルツハイマー病を引き起こす異常なタンパク質がどのように生まれるのか、そして蓄積し脳神経を破壊するのかなど、特に発生源がウイルスや細菌感染が原因なのか、食べ物や環境が理由なのかはもよく分かっていません。

デ・フリース氏は「細胞や動物モデルで何かを変えて、次に何が起こるかを見ることによってのみこれを実証することができます。それが今私たちがしなければならない最初のことです」と語っています。

*抄訳したものを掲載しています。医学的な内容につきましては必ず医師の説明を受けてください。