国際捕鯨委員会が中心となり行ったのは見出しでも紹介したようにシャチが船に接触し、場合によっては破壊する報告が複数発生している事に関する研究です。

どのような被害がでているのかについて、大西洋シャチ作業グループ（GTOA）の発表として、2020年以降、海洋動物と船舶の「接触」が673件発生しており、少なくとも4隻の船が沈没しています。最近では数不明のシャチがスペインと北アフリカの間のギルブラルタル海峡にて全長15メートルのヨット「アルボラン ・コニャック」に何度も衝突を繰り返しました。乗客と乗組員は石油タンカーに救助された後、ヨットが浸水し沈没しました。
このように意図的にヨットを攻撃していることが確認されています。

そこで科学者たちは個々のシャチから収集したデータと観察から得たデータを分析しました。結果、船舶への「攻撃」は通常、上記のヨットに対する行動と同じように一度に数頭のシャチが関与していることが分かりました。船への攻撃が観察された中核の15頭のグループが関与していることも発見しました。

▼舵に興味をもつシャチ


しかし、少なくともシャチ側としてはこれらは「攻撃」ではなく複数の若いオスが好奇心からつつくなどしていつのまにかエスカレートしていく行動が見られたとしています。具体的には最初は船の舵に頭をぶつけるだけでした。

これは船の舵が動くなど不思議がっていたらしく、おもちゃのようにつついて遊んでいる様子が確認されました。それはグループの家族で兄妹がやっており近くには25歳の親シャチがいたもののこのような遊びには参加しなかったといいます。このような報告が多くあり結論としてはシャチの高い知能と好奇心により発生したものであり攻撃のように見えてしまうものの実際は遊びだとしています。

協会としては「攻撃ではない、攻撃とは誤解を呼ぶ表現だ」と結論付けているものの、遊びだとしても人間が攻撃されれば簡単に命を落とす陸上の動物であることはまずは認識することが先であり、有効かつ効果的な対策を先に考える必要があります。