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NASAの契約のもと開発されたボーイングの有人宇宙船スターライナー。今月5日に打ち上げられ宇宙ステーショに到着したものの、重要な姿勢制御装置となるスラスターがまた壊れ帰還の目処が全く立っていないと報じられています。

スターライナーについては試験打ち上げ時点で複数のスラスターが故障するなど潜在的な欠陥も指摘されていたのですが、結論としてこの有人打ち上げでもやはりスラスターが故障しました。

Boeing's Starliner spacecraft still doesn't have a landing date, NASA says | Space
https://www.space.com/nasa-boeing-starliner-crew-flight-test-mission-delays-webcast

NASAによると壊れたは5つのスラスターです。スターライナーには合計28基のスラスターが付いているもののうち5つに不具合が発生しました。これは5日に人を乗せて打ち上げ、国際宇宙ステーションにドッキングする途中で発生したもので、最初のアプローチはキャンセルされ軌道上でテストを行った後どこキングすることができました。

スターライナー廃棄も

現在宇宙飛行士は国際宇宙ステーションに入っているのですが、接続されているスターライナーについて帰還できるかは分かっていません。

あくまで現時点でボーイングとNASAの首脳陣は宇宙船は安定しており緊急時にはISSから離脱できると強調しています。しかしNASAとボーイングは宇宙でスラスターをテストした後、根本原因を解明するためにさらに時間をかけたいと述べています。

ボーイングとしては仮に宇宙船が帰還できないとなると会社のイメージ悪化に拍車をかけることになるためなんとしても避けたいということになるのですが、少なくとも7月2日から地上でスラスターの再現実験を行いその評価に2週間かかるとしています。さらにそこからの分析となるため7月後半以降に帰還の判断がされるものと考えられます。



スターライナーについては2020年の初打ち上げでも8つのスラスターで故障が発生。2022年の無人で打ち上げ国際宇宙ステーションに到着したときもやはり同様のスラスター故障が発生しています。この信頼性の低さからスラスターから、燃料を供給するマニホールドに潜在的な欠陥があることは明らかであり未だにその問題が解決されていないことは明白という状況です。

いずれにしても7月に行なわれるテストがどうであれ、問題があるスラスターの一部は帰還時に使用できないと現時点で発表されており最悪の場合、地上試験の結果次第ではスターライナーは無人で帰還、もしくは大気圏で破棄され、宇宙飛行士は帰還はスペースXのドラゴン宇宙船になる可能性も高まっています。

ちなみにこのスターライナーはNASAと宇宙輸送契約ができなかった場合は部門の全員を解雇するという通達を受けた状態で開発されていた機体ということが明らかになっています。