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世界保健機構(WHO)のがん研究機関はベビーパウダーや化粧品といったものに含まれる粉末状の鉱物タルクについて除去が困難なアスベスト汚染が原因でおそらく発がんがあるグループ2Aに分類したと発表しました。

これは国際がん研究機関(IARC)が行った、卵巣がんの「限定的な証拠」、実験動物ががんを発症した「十分な証拠」、およびヒト細胞に発見された発がん性の「強力なメカニズム的証拠」に基づいた判断で、天然タルクを「おそらくヒトに対して発がん性がある(グループ2A)」に分類したというものです。

IARC Monographs evaluate the carcinogenicity of talc and acrylonitrile
https://www.iarc.who.int/wp-content/uploads/2024/07/pr352_E.pdf
Talc "probably" causes cancer, WHO agency finds
https://newatlas.com/medical/talc-cancer-who/

具体的にどのようなものなのか。女性の性器にタルクを塗ると卵巣がんのリスクが高まるという、 5月に発表された大規模研究の結果を裏付けるものになっています。国際がん研究機関によると「会陰部にボディパウダーを使用したと自己申告した人間の卵巣がん発症率が一貫して上昇したことを示す研究が多数あった」と報告書では指摘しており、その原因については「評価はアスベストを含まないタルクに焦点を当てていたが、アスベストに曝露した人間の研究のほとんどでタルクのアスベスト汚染を除外することはできなかった」としています。

合わせて「パルプ・製紙業界でタルクにさらされた女性の職業的暴露を調べた研究でも、卵巣がんの発症率の上昇が観察された」と報告書は続けています。

動物実験としてメスのラットでは悪性腫瘍の発生率(副腎髄質がんおよび肺がん)が高く、オスでは良性および悪性腫瘍の発生率(副腎髄質)が高いことを発見しました。これに加えて、タルクの細胞への影響からタルクが慢性炎症を引き起こし細胞の成長と死を変化させるという強力な証拠が明らかになったとしています。

タルクとアスベスト

このタルクという原料については実はアスベストとが含まれる鉱物が含まれる鉱山から採掘されます。食品医薬品局(FDA)は2020年に「タルク鉱石の精製によるアスベストの除去は極めて困難です」と説明しており、現代技術をもってタルク鉱石から有害なアスベストを完全に除去することはできていません。

アメリカがん協会は「より多くの情報が得られるまで、タルカムパウダーとがんとの関連を懸念する人は、タルカムパウダーを含む消費者製品の使用を避けるか、制限することを選択するかもしれない」と主張しています。