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アルツハイマー型認知症など高齢者が患うことが多い病気。これにテキサス大学らが開発した新薬を鼻スプレーした結果、マウスを用いた試験では1回だけで認知機能が改善する効果が確認できたと発表しています。

テキサス大学の研究者が率いる国際チームが開発した有望な新薬について、この鼻スプレーは脳が細胞や病原体等が簡単に入らないようにする『血液脳関門』を回避し、認知症の原因とされるタウタンパク質のもつれを破壊することができたこを確認したと発表しました。この薬は研究室で人間のニューロン内部およびニューロン間のもつれを除去する可能性があるとされています。

New Alzheimer's Nasal Spray Clears Toxic Tangles in Human Neurons And Mice : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/new-alzheimers-nasal-spray-clears-toxic-tangles-in-human-neurons-and-mice
Nasal tau immunotherapy clears intracellular tau pathology and improves cognitive functions in aged tauopathy mice | Science Translational Medicine
https://www.science.org/doi/10.1126/scitranslmed.adj5958

この薬はタウタンパク質の最も毒性の高い形態を認識して破壊するように特別に開発されたものです。しかし、課題としては研究者たちは薬剤を血液脳関門を通過して脳細胞に送り込む方法を考える必要がありました。

神経科学者のサガール・ガイクワド氏らは細胞膜をすり抜けられる小さな泡の中に薬を詰め込む方法でマウスの鼻に薬を吹きかけ血液脳関門をくぐり抜けることができたとしています。タウ関連脳疾患を患う老齢マウスの場合、脳から有害なタウタンパク質を除去するのに必要なのはスプレー1回だけで2週間後マウスの認知機能は改善したとのこと。

この薬が人間にも同じ影響を与えるかは試験されていないのですがこの技術が認知症といった関連する疾患の治療に進むよう期待しているとしています。

一方でエディンバラ大学の神経科学者によるとタウをベースとした治療法の多くは動物モデルでは有望であるものの、人間に対する効果的な医療への応用はこれまでのところ失敗していると説明しています。

「この治療を鼻腔内に投与することで抗体がヒトのはるかに大きな脳全体に有効な量で浸透するかどうか、またアミロイドを標的とした免疫療法の臨床試験のすべてで懸念されている炎症などの潜在的に危険な副作用があるかどうかなど多くの未解決の疑問が残っている」と指摘しています。

*抄訳したものを掲載しています。医学的な内容につきましては必ず医師の説明を受けてください。