HVP MDAC 155mm

アメリカ陸軍の重要技術局 (RCCTO) はMDACという多領域砲を2020年代末までに導入する計画を発表しました。この多領域砲は現代はほとんど使われていない防空砲になる予定です。

第二次世界大戦中、地上配備されていたのは対空砲です。これは高高度から侵攻してくる爆撃機などを対象に設置されていたのですが、現在はミサイル技術が発達したこともあり水上艦を除きほぼ運用されていません。

Railgun Ammo-Firing Air Defense Artillery Cannon Plans Laid Out By Army
https://www.twz.com/land/railgun-ammo-firing-air-defense-artillery-cannon-plans-laid-out-by-army

しかし今回アメリカ陸軍は2028年度に運用実証を行う試作車両、つまり対空砲を搭載したMDAC、多領域砲を求めています。

米軍が求めているのは装輪車両(タイヤ付きの車両)かつ、自走式155mm砲を利用するとしており、放つのはHVPという超高速弾も発射できるものだとしています。このHVPはかつてアメリカ海軍が開発していたレールガンから発射できるものして、巡航ミサイルや弾道ミサイルの迎撃も行うことができると考えられていた砲弾でした。

▼米空軍研究所が考えたMDACのイメージ、放たれた砲弾は途中で進路を変えミサイルに命中している


記事によると、この弾頭については過去にアメリ海軍の5インチ艦載砲、155mm榴弾砲から発射されたことがあり、当時の速度としては時速9000km/hという音速の数倍もの速度で発射させることに成功していました。射程は5インチ砲では31km程度、155mm砲では74kmに達するとしていました。この砲弾は直接衝突させる以外も爆薬を積んだ弾頭も搭載することが予想されています。

▼HVP砲弾
HVP


また細かい仕様として完全な兵器システムは高度に自動化され「遠隔兵器発射機能」「HVP による高発射速度」「大容量の弾倉容量」および「迅速な弾薬補給時間 (手動および自動)」が求められています。

要するに車輪付きで迅速に配備可能な155mm砲を発射でき、さらに自動装填・遠隔発射も行えるような現在存在しない兵器を求めているということになります。もちろんこれは対空砲という位置づけですが、事実上の155mm榴弾砲であるため通常の対地攻撃もできると考えられます。

これが本当に戦場で役に立つのかについては現在のウクライナを見てもわかるように大型爆弾から巡航ミサイルが飛び交う状況からもある程度有効と考えられます。ただこれがミサイルと比べてどの程度コスパよく運用できるのか、ライバルは既存のミサイルということになります。


ちなみに2020年に米空軍がBAEシステムズが開発した155mm榴弾砲(XM1299追跡式自走榴弾砲)でBQM-167標的機を撃墜したことがあるらしく技術面は対空砲として運用可能と考えらえます。