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最近海外で報告され始めている鳥インフルエンザH5N1の人への感染事例について、先日コロラド州で感染した鳥の殺処分を行っていた作業員5人が相次いで感染した事例が報告されています。

米国疾病予防管理センター(CDC)によると、養鶏事業で発生したヒト感染例のうち4例を確認し残り1例についても感染確定の確認待ちとしているのですが現段階では陽性と推定され、5例が相次いで発生したと発表しています。

Bird Flu Infects 5 People in Colorado After Likely Cow-to-Poultry Spread :
ScienceAlerthttps://www.sciencealert.com/bird-flu-infects-5-people-in-colorado-after-likely-cow-to-poultry-spread

記事によると、この5人はH5N1に感染した鳥の駆除作業を任されていた5人の作業員でした。そもそもこの養鶏場で感染が発生した理由については乳牛から養鶏場に広まったのではないかと推測されています。

米農務省のエリック・ディーブル上級顧問代理によると「養鶏場から採取したサンプルのゲノム配列を解析した結果、近隣の酪農場の群れに見られるものと同じタイプの高病原性鳥インフルエンザの遺伝子型であることが確認された」と記者会見で発表してます。

これはウイルスの種間移動を追跡するには十分ではないものの、コロナウイルスのように変異することなくあまりないものの、さまざまな動物宿主の中で繁殖する能力があることを示唆しています。すでにアメリカでは鳥以外でも50種の動物で感染し発症した例が報告されています。

鳥インフルエンザウイルスが多くの種の間で感染すればするほどウイルスはより効率的に拡散するということになるのですが、CDCによると「一般住民に対するリスク評価は依然として低く、CDCは勧告を変更していない」と主席副所長は記者会見で述べています。

致死率は低い?

このH5N1型については鳥には致命的な症状を見せるのですが、人ではどうなのでしょうか。これまでH5N1型が人に感染した場合の致死率は50%以上とされていました。

しかしCDCによると「これまでに確認されている症状が軽度であること、ウイルスの遺伝子構造に人体へのリスクが増大することを示唆するような変化が見られないことから畜産業従事者に対してH5型ウイルス特有のワクチン接種を推奨していない」としています。

合わせて感染した養鶏場の患者の1人から採取されたウイルス遺伝子の予備分析では「作業員が感染した可能性のある農場の感染鶏の2つの配列と非常に密接に関連している」とし「テキサス州のものとミシガン州での最初のヒト感染例と100%同一だった」としておりアメリカで確認されているウイルスは同じものだということも確認されています。

このように人間に感染した場合は比較的症状は軽度となり回復も早いとしているものの、問題なのは私達が食べ物として多く使用する鳥や牛にも感染するという点です。これにより農業に及ぼす影響は極めて甚大になる可能性があります。

例としてウイルスに感染した牛乳では規格上飲用に適さないものになるらしく、ニワトリはコロラド州の養鶏場ではすでに180万羽が殺処分となっています。

そして今回のコロラド州のように殺処分する人間が感染するリスクがあります。州の公衆衛生環境局の報告によると感染した5人の作業員は駆除のために二酸化炭素ガス室に鳥を入れる作業に従事していたと明らかになっています。

また「大規模な産業用扇風機があり納屋を涼しく保つのに役立っていましたが、扇風機はウイルスを運ぶことが知られている羽毛のようなものも周囲に拡散させてしまいました」と説明しています。北半球では夏となっておりコロラド州の気温が当日少なくとも40℃近くまで上昇し、作業員は対策を維持するのに苦労した可能性が高いと会見で述べています。