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高齢者の多くが患う認知症。未だに根本原因がよくわかっていない病気ですが、イギリスの公共放送BBCは南米大陸のアマゾン地域にいる先住民では認知症が全く見られなかったと報じられています。

これはBBCが今月18日に報じたものでボリビア最大の都市、ラパスから約600km離れた地域に地域に居住する部族であるチマネ族です。彼らは今も狩猟と採集、そして農業を行っており外部から食料供給を受けない自給自足生活となっているといいます。

The Amazon rainforest people who age more slowly than the rest of the world
https://www.bbc.com/news/articles/ceq55l2gdxxo

彼らの民族は約1万6000人の人口ですが、科学者が行った調査の結果、最大の特徴は部族員の全員が年齢を計りにくい活力を持っている点に気づいたといいます。チマネ族は文明と接する私達一般人よりも健康な動脈を持っており彼らの脳は北米やヨーロッパ、他の地域の人々よりもゆっくりと老化するという事実を確認したとしています。

米国カリフォルニア大学のカプレーン教授研究者らが先住民を詳しく研究した結果、老年に入った先住民たちは高血圧や糖尿病、心臓病などの高齢者が患う典型的な病気の兆候がほぼないことを確認しているとのこと。特に高齢者の人はアルツハイマー症例がないという事実が確認されており、驚きの結果だったといいます。

この論文は去年米国国立科学院会報に発表されておりの部族の老人の脳萎縮率は英国と日本、米国など産業化国家の同一年齢の人々より最大70%も低かったとしています。

研究者が75歳以上のチマネ部族民を対象にCTスキャンを行った結果、心臓発作の原因ともなる冠状動脈カルシウム(CAC)が全く見つからなかった人は実験対象者の65%に達したとしています。一般的に欧米人の場合、同年齢であれば80%でみつかります。この結果から「75歳の部族民の動脈状態は欧米人の50歳の状態と似ているほど健康だった」と説明しています。

チマネ族のライフスタイルは…?

動脈硬化などは主に食生活、運動といったものが関連しているのですが専門家らは健康の秘訣として生活方式と食習慣を挙げています。 BBCによるとチマネ族の一日は非常に活動的に動物を狩り、食べ物を植え、屋根を織るなどの絶えず何らかの活動を行い過ごしていることが確認されています。

また、これらが摂取するカロリーのうち脂肪の割合は14%に過ぎず、鳥や動物、魚、種子など通じてタンパク質を摂取しています。調理する際には一般的に揚げ方はほとんどしていないとのこと。チマネ族の男性は1日平均8時間程度狩りを行っており、座って過ごす時間は昼間の10%です。一方で私達先進国の人は産業活動をする現代人は昼間の54%を座って過ごしています。

一方で平均寿命も短い

現代的な医療を受けられる私達は平均寿命は70~80歳になっているのですが、部族民の平均寿命はわずか50歳です。チマネ族を研究してきた科学者たちは「すべてのチマネ族の人々が一生の間、寄生虫や細菌による特定の種類の感染症を患う。高レベルの病原菌や炎症も見られるがこれは人の体が感染と絶えず戦っていることを示唆する」と話した。

「80歳になったスカート族の人々は病気や感染症でいっぱいの幼年期をすごし生き残った人々だった」とし「こうした初期感染がスカート族の高齢者の健康に影響を与えるもう一つの要因である可能性もある」と付け加えた。

変わる食文化

確かにこの民族は外の文明とは距離はとっているものの地域によってはここ20年でエンジン付きのボートを利用したり学校に行くなど生活スタイルに変化も見られているといいます。その結果、若い人の間では20年前になかった糖尿病が現れ若い人口の間でコレステロール値も増加し始めていることもわかっているといいます。

つまり現代の高齢世代が近代的な文明と接していない最後の高齢者になると考えられ古い生活方式とで暮らした人の遺伝的特徴を研究すれば、私たちの脳の老化具合を変えることができるのではないかと説明しています。