イランのドローン空母

ロシアや中東各国に多くのドローンを供給しているとされるドローン大国、イラン。既存の商用コンテン船に固定翼機用の飛行甲板を設けドローン空母の保有を目指していることが明らかになりました。

このイランのドローン空母は去年末にSNSに動画で投稿されていないのですが、今回登場した写真がいつ撮影されたのかは不明なものの着実に空母として改修が進められていることがわかるものになっています。

Iran’s Bizarre 'Aircraft Carrier' Seen In New Detail
https://www.twz.com/air/irans-bizarre-aircraft-carrier-seen-in-new-detail

海外の軍事サイトによると「おかしな空母」として嘲笑されている声もあるものの全長270メートルのコンテナ船に斜め配置で飛行甲板を搭載しているというもので、その先端は反り上がりスキージャンプ式となっていることがわかっています。

▼2023年に撮影された動画


また後部デッキについても平らになっていることからここにも何らかのドローンやヘリが離着陸できる構造が作られる可能性が考えられます。現時点で甲板にドローンを停止させるアレスティング・ワイヤといたものがあるのかも不明です。

注目されるドローン空母

従来空母は有人の固定翼機が飛び立つ艦艇として運用されてきましたが最近では無人機を運用する可能性も考えられており既にアメリカ空母では給油機を無人機として運用するものが開発されています。しかしこれはドローンというよりもあくまで有人艦載機をサポートする運用形態となっています。

アメリカのMQ-25 無人艦載給油機 参考


一方で今回のイランの改造空母はドローン、一部有人のヘリも運用するものになっていると考えられます。昨今のウクライナの戦闘などを見てもわかるように長距離を飛行できる無人機で越境攻撃を行うなどその重要性が増しています。

もちろん商用のコンテナ船がベースとなっているため攻撃に対しては軍事用の空母として建造されたものと比較すると極めて脆弱です。アメリカの空母のように機動艦隊の中核を担い艦隊行動の中心として存在し空域や海域に対して強力な軍事力を示すものではなく、当然対潜水艦のソナーも搭載されていないと考えられます。

一方で安価なドローンを安価な商船ベースのコンテナ船で運用できるという利点もあると考えられ、今後欧米などでも既存の空母ではなく乗員や防御面を削ったドローン専用の空母、その機能を持つ艦艇というのは開発されていく可能性は考えられます。