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アメリカ航空宇宙局(NASA)は、2024年7月に初めて人を乗せて打ち上げたボーイングCST-100、通称スターライナーに関して宇宙船の故障を受けて帰還について安全性に懸念があるとして使用を断念。今後スペースXの宇宙船で帰還する決定を発表しました。スターライナーは4回の打ち上げで全て事故を発生させています。

この発表はアメリカ時間2024年8月24日、NASAおよびボーイングが共同で発表したもので、2名の宇宙飛行士を打ち上げ現在国際宇宙ステーションにドッキングしたままになっているスターライナーについて帰還に使用せず無人で帰還させることに決定したと発表しました。

Boeing Starliner astronauts will return home on a SpaceX Dragon in 2025, NASA confirms | Space
https://www.space.com/nasa-boeing-starliner-astronauts-will-return-on-spacex-dragon-2025

この二人はスラーライナー初の有人ミッションで国際宇宙ステーションに向けて打ち上げられました。2024年6月5日のことで当初帰還までは8日としていましたが、既に2ヶ月以上経過した今も国際宇宙ステーションに滞在し続けています。

この二人は有人宇宙船開発で競合しているスペースXのドラゴン宇宙船で帰還する決定も発表しており、

重大な欠陥、故障相次ぐも…有人打ち上げ実施

原因については宇宙船の欠陥です。国際宇宙ステーションにドッキングする途中の軌道上で宇宙船からヘリウム漏れが発生し姿勢を制御する重要な装備となるスラスターが28基中5つが現時点で使用できない状態に陥っています。

問題なのはスターライナーは2019年に行われた宇宙船初の打ち上げでは通信トラブルでスラスターが燃焼し続けたことで異常な起動に投入してしまうという事故が発生。続く2022年の打ち上げではサービスモジュールの12個のスラスターのうち2個のスラスターが点火直後に故障するという事故があいつで発生しています。

このように搭載したスラスターに何らかの欠陥があることが指摘されていたものの有人打ち上げを実施、結果としてスラスターが故障しました。

「無人のまま帰還させるという決定は、安全に対する取り組みの結果だ」

などとNASAとボーイングは主張しているのですがあまりに判断が遅すぎます。この間ボーイングは根本原因を調査するなどし、5つのスラスターはほとんどが回復していると発表し実際に使えないのは1つだとしていました。

しかしどのような理由なのか安全性に懸念があり『有人帰還は不可』となりました。つまり帰還中に故障しスラスターが再び使用不能になる可能性がゼロでは無いなど懸念があったことは間違いありません。

実際にNASAの発表でも同じ発言をしており「本当に重要な要素の一つは帰還途中でスラスターがどれだけ使えるか分からないことだ」と説明しており最悪の場合死亡事故にもつながる可能性がゼロではなくリスクが伴うとしています。つまり代替手段で帰還できる方法があるにも関わらずリスクを負ってまで帰還させる必要はないと判断しました。

また別の表現としては乗組員が搭乗している状態でスラスターが故障する可能性に関する数字を含むデータをチームで調べたところ「リスクが大きすぎた」としており、予想ではNASAかボーイングが定めている事故発生可能性のしきい値を超えていたものと思われます。

いずれにしても2022年と2024年に同じようなスラスター問題を引き起こしたことについて潜在的に欠陥があることは間違いなく今回重大な事故を起こしたことについて追加の試験が今後行うのかなども現時点では明らかにされていません。

ちなみに宇宙船スターライナーは2019年から今回の4回目打ち上げの全てで何らかの大きなトラブルを発生させており何事もなく帰還したことはありません。