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今後行われる自民党総裁選に立候補表明した河野太郎氏は今月5日、記者会見でその総裁選公約を発表しその一つとして海上自衛隊における原子力潜水艦の保有について議論する必要があると発言したと話題になっています。

河野太郎氏によると原子力潜水艦の保有の推進については「日本も配備し、東シナ海から太平洋へ出るところを押さえる戦略を議論する時代になっている」と訴えており、単純に中国が海洋進出を図るルートの防衛のため必要性を訴えているというものになります。これは中国の水上艦というよりも潜水艦というニュアンスです。

そのうえで、日本はアメリカ、オーストラリア、そしてイギリスの安全保障の枠組みとなるAUKUS(オーカス)への日本加盟を提案しており軍事協力の拡大を図ることを示唆しています。

日本の原子力潜水艦保有

原子力潜水艦とは動力に原子力のエネルギーを使用するもので膨大なエネルギーにより一般論として長時間の任務が可能になったり水を使える量が増えるとされ乗員の住環境も良くなるとされています。ディーゼル潜水艦は長期化の水中行動は限界があり運用の面では原子力潜水艦のほうが有利とされています。

原子力潜水艦はアメリカ、イギリス、フランスが運用しており、当然ですがロシアや中国、インドも保有しています。そしてオースラリアもアメリカから導入するという案で保有が決定しています。



日本の原子力潜水艦の保有については度々議論されています。例えば2023年にはアメリカ海軍のトップ
マイケル・ギルディ米海軍作戦部長が日本の原子力潜水艦保有について「日本が原子力潜水艦を建造しようとする決定は、数年間にわたり政治的および財政的に国家的次元の支援が求められる大きなステップだ」とし「オーストラリアと類似の形で原子力潜水艦の確保に出る可能性がある」という趣旨の発言をしています。

日本は現在世界でも有数の通常動力潜水艦保有国でトップレベルの世界最高水準の造船技術を有しています。ただし原子力潜水艦となると初の試みとなり国産開発案、もしくはアメリカから導入する案があると考えられます。

政府は「原子力基本法の現行解釈に従えば、わが国が原潜を保有することは難しい」と林芳正官房長官が見解を示しているものの、アメリカ海軍の原子力潜水艦は既に1000回以上日本に入港しており通算滞港日数は1万日を超えています。

このように法律面では難しいものの運用は問題なく可能です。近年の艦艇の空母改修も行っている日本では対中国をにらみアメリカを超えた海軍の艦艇を保有している現状を鑑みても、原子力潜水艦の保有というのは当然の流れになってくると考えられます。