このポラリス・ドーンミッションはジャレッド・アイザックマン氏の資金提供の元、スペースXが実施した所謂民間宇宙旅行の一環として実施されたものです。スペースXにより打ち上げたクルードラゴン宇宙船はその2日目に資金提供者のジャレッド・アイザックマンとサラ・ギリスの2名が船外に出て史上初の民間企業および民間人によると船外活動、宇宙遊泳を成功させたということになります。

Polaris Dawn crew conduct first commercial spacewalk - NASASpaceFlight.com
https://www.nasaspaceflight.com/2024/09/polaris-dawn-spacewalk/

この宇宙船、クルードドラゴンに減圧室というものは搭載されていません。船外活動には宇宙船内部を減圧つまり宇宙に直接さらすということを行いました。この飛行を実現させるためにドラゴン宇宙船も今までの国際宇宙ステーションへ行き来するだけのモデルとは異なる仕様に変更されています。

特に船外活動をサポートするための改造としてカプセルの生命維持システムには多くのアップグレードが施されています。追加の酸素が搭載されており、レジリエンスが減圧されている間、宇宙飛行士のスーツに供給。また宇宙遊泳が完了したら宇宙船を圧力に戻すための窒素再加圧システムも追加。また新たにセンサーが搭載されており宇宙船の前方ハッチは乗組員が開閉できるようにモーターが追加されるなどアップグレードされているとのこと。

宇宙船の外に出ていたのは常時1人だけでアイザックマンは宇宙船から出て、特に宇宙服の機動性に重点を置いた一連の計画を実施しました。これにより、SpaceX が宇宙服の性能を評価し、将来のミッションに向けて設計を改良するのに役立つデータが収集されたとしています。

この船外活動は商業宇宙飛行にとって重要な節目となり、飛行の初期段階で完了した高高度テストに加え、宇宙にいることで乗組員がどのような影響を受けるかを研究するための実験、スペースXのスターリンク衛星を介した光通信のテストも数多く実施されたとしています。

ポラリス・ドーンの意図、今後の計画

今回初の完全民間企業による宇宙遊泳についてこの計画は合計3つ計画されています。1960 年代半ば、NASAのジェミニ計画がアポロ計画で行ったのと同様にこの計画は将来の月、火星、さらにその先への将来の有人商業ミッションのための経験を積み、技術とテクノロジーを開発することを目的としているとのこと。

つまり船外活動は今後宇宙空間で人の手が必要となった場合の技術開発だったり、さらには月面や火星地表ので活動といった多岐に渡る地球外での有人活動に必要不可欠な技術ということになりそうです。