ヒズボラ ポケベル爆発

国内外の複数メディアによると日本時間17日、日本や欧米などがテロリストとして指定しているレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの戦闘員が保持するいわゆるポケベルが同じ時間に爆発し数千人が負傷したと報じられています。この爆発に関して何らかの爆発物が使われた可能性についても考えていきます。

今回の事件について衛星テレビ局アルジャジーラによると、レバノン南部や首都ベイルート近郊でヒズボラの戦闘員が所持していたポケベルが一斉に爆発したと報じており、このポケベルは元々イスラエルなどのスパイ活動を避けるために導入していたもので、ヒズボラのメンバー間の連絡手段として用いられていたものだとしています。

自主的にというより指示され保持していたということになるのですが、ヒズボラの指導者ナスララ師は事件前の数カ月前にイスラエルによるサイバー攻撃などを警戒した上で、戦闘員に対してスマートフォンの使用を控えるよう求めており、結果的に爆発したポケベルが主要な連絡手段となっていたとしています。

何が爆発したのか、爆発物の可能性は?

18日午前時点で具体的に何が爆発したのかは発表はされていないのですが、映像を見て気になるのは爆発がいわゆるバッテリーの過充電やショートなどで発生した可能性、もしくはプラスチック爆弾など少量の爆発物が仕込まれていた可能性です。


こちらは落とすなどで損傷した一般的なバッテリーによる爆発です。ポケベルよりも大容量のバッテリーが搭載されており威力は強いはずです。しかし爆発により本体は壊れているものの着衣に大きなダメージはなく体への負傷も少ないと考えられます。もちろんヒズボラのケースのようにポケットの内部での爆発と表面爆発による違いは考えなければなりません。(※過去にスマートフォンが爆発したケースで死亡した例は存在しています)

そしてこちらがテレビなどで報じられている爆発です。男性が立っていられないレベルの負傷をしています。SNSにアップされている他の動画でも男性が気絶している映像も存在しており総じて威力が強いという印象を受けます。

また負傷の状況については動画では紹介できませんが例えば手首が吹き飛んでいるという規模になっており、本当にポケベルサイズのバッテリーサイズでこの威力がでるのかという疑問が強くあります。

こちらの映像は今回の爆発と関連しているのかは不明ですが机に大穴が空いており、これはバッテリーの爆発というよりも爆発物より作られた穴と考えられます。また車を運転中に爆発した例ではフロントガラスに3個所程度の穴が空いており、この規模の爆発となるとバッテリーでは引き起こすことはできず、ほぼ間違いなく爆発物が端末に仕込まれていたと考えるのが普通です。

世界初の大規模な遠隔爆破か…

今回の事件は同時多発的にポケベルが何らかの理由で爆発した事実が明らかになっているのですが、爆発はポケベルに送信された何らかのコードを実行させ、回路やパーツを異常動作させ発生させた可能性があります。

また何らかの方法でポケベルのソフトウェアを書き換え、バッテリーもしくは意図的に仕込まれた爆発物を破裂させるコードが実行された可能性もあります。仮に爆発物、プラスチック爆弾のようなものが仕込まれていたとして、何故今まで発見されなかったのかという疑問があります。考えられるのは特定のロットのみ電子パーツなどに偽装された爆発物が仕込まれていた可能性ゼロではありません。

現時点でヒズボラが使っていたポケベルの機種が複数あるのか、爆発したのは同一機種だったのか、爆発した地域は限定されていたのかもよくわかっていません。ただ一つ言えるのはこのような規模の爆発はこれまで発生したことはなく、世界初のハードウェアを使用した遠隔攻撃ということになりそうです。