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地球上の多くの生物を根絶やしにしてきた小惑星の落下。その一つに有名なのは恐竜の例がありますが、この脅威となる小惑星の地球衝突に関して米国サンディア国立研究所は核兵器を用いて効率的に対処する案を発表しました。

映画などでも小惑星を破壊するため核兵器を用いる案は度々描写されますが、今回は研究結果からこの核兵器がどの程度小惑星に影響を与えるのかを研究したものになっています。この
研究はNature Physicsに掲載されています。

A Nuclear Explosion Could Protect Earth From an Asteroid Catastrophe : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/a-nuclear-explosion-could-protect-earth-from-an-asteroid-catastrophe

この小惑星を核兵器で対処する案については「意味がない」という研究やその類の内容を見聞きしたことがあるのですが、今回の研究では核爆発で発生するX線に焦点をあて研究しました。

研究では12mmサイズの小さな小惑星模型2個を用いました。これはこれまでの研究で分かっているシリコンをベースとする模擬小惑星でこの小さい模型に核兵器で発生する強力なX線を照射しました。

結果、このXが模型の小惑星の表面を加熱し水蒸気が形成され膨張しながら押し出す効果が確認できたとしています。観測された加速度は石英モデルの模型で秒速69.5m、シリカモデルの模型で70.3mの運動状態の変化を与えていたとしています。

このことから研究チームは直径4kmの小惑星であれば核爆発のX線で効率的に軌道をそらすことができる可能性があるとしています。

衝突は効果があるが薄い

過去NASAの研究から宇宙船のような質量を小惑星にぶつけることで軌道を変更できることが証明されています。しかし運動状態の変化は少なく、地球に衝突する可能性のある小惑星を相当遠くで発見し命中させる必要があります。

サンディア国立研究所は「小惑星に宇宙船などをぶつける方法は非常に注目すべきことだ」とする一方で「巨大小惑星を防御するには十分ではないかもしれません。核爆発のX線メカニズムは衝突までの経路が短くより危険な彗星と小惑星を防ぐ任務に使用できるだろう」と主張しています。

ちなみに人類に脅威を与えるキロメートルサイズの小惑星についてはこれまで多く発見されており現時点で将来衝突する可能性のものは観測されていません。また少なくとも140m以上の小惑星も含めて今後100年以内衝突する可能性は極めて少ないとされています。