現在運用されている航空エンジンはターボファンエンジンが広く搭載されていますが、アメリカの民間企業アストロメカニカはターボエレクトリック・アダプティブ・エンジンという、ターボジェットエンジンとターボファンエンジンの両方搭載する新型エンジンの開発を行っています。
アストロメカニカが開発しているのは1つのエンジンユニットでターボジェットもしくはターボファンのように動作するように設計されている新しい構造です。これにより低速飛行・高速飛行でそれぞれ異なるエンジンモードで飛行することができ、燃費の改善や音速を超える超音速飛行も可能となります。
Revolutionary jet engine shows promise after first hot-fire test
https://newatlas.com/aircraft/astro-mechanica-turboelectric-adaptive-engine-supersonic/
最大の特徴は従来はターボジェットエンジン、もしくはターボファンエンジンのどちらかしか構造上搭載できなかったものを工夫して両方を1つのエンジンで実現させている点です。具体的な構造としてはエンジンは2つの部分に分かれており、ターボジェネレータが電気モーターを駆動して電力を生成し2つ目の電気モーター セットに電力を供給。コンプレッサーとターボファンを個別に駆動させるためエンジンは圧縮される空気の量を変更することができ燃焼に使用できる圧縮空気の量も変更できる…という言葉だけではよくわからない構造になっています。
この中核となっている電気モーターは電気自動車で使用されているものと同様の高性能電気モーターでコンプレッサーを機械的に独立して駆動しているとしています。
一方、ターボジェットエンジンは構造は似ているものの異なります。このジェットエンジンは排気流により100%の推力を生み出しています。例えばコンコルドにもこのターボジェットが搭載されていました。しかし低速域での燃費は非常に悪いものでゲートから滑走路までの地上走行だけで実に2トンもの燃料を消費していたとされています。
高速飛行に優れるターボジェットエンジン、燃費にも優れるターボファンエンジン、そのいいとこ取りのようなエンジンが低バイファパス比ターボファンエンジンということになりそうですが、ターボエレクトリック・アダプティブ・エンジンはいいとこ取りではなく理論上は両方の機能を持っている…?ということになります。
同社によると仮に同じようなスペックのエンジンをコンコルドに搭載していた場合、飛行距離は61%程度伸びていただろうとしており効率の高さを示しています。
現在同社の開発は第 1 世代プロトタイプ エンジンを開発しておりすでに900m/s、3,240 km/h、マッハ 3という驚異的な速度を実証しています。
「でもこのエンジン高いんでしょ?」というそこらの企業にありがちな余計な付加価値と高価格も付けてくるときがあるのですが違います。同社によると現在運用されている例えば旅客機のエンジンと比較するとターボエレクトリック アダプティブ エンジンは大幅に安価に製造することができるといいます。それは可動部品が少ないという点もあり更にメンテナンス費用もおそらく安くなると主張しています。
そして燃料です。このエンジンは液化天然ガス (LNG) で稼働するように設計されており従来のジェット燃料の10分の1の価格で単位重量あたりのエネルギーが多く、燃焼時の CO2 排出量も30% 少なくなることが予想されています。このエンジンのデメリットかつ最大懸念があるとすれば耐久性がどのくらいなのかという点です。
同社は現在ターボエレクトリック アダプティブ エンジンと通常のターボファンエンジンを搭載した実験機を作り東京・サンフランシスコ間を超音速飛行させ実用化を目指したいとしています。なみに同社の従業員はわずか8人です。
Revolutionary jet engine shows promise after first hot-fire test
https://newatlas.com/aircraft/astro-mechanica-turboelectric-adaptive-engine-supersonic/
最大の特徴は従来はターボジェットエンジン、もしくはターボファンエンジンのどちらかしか構造上搭載できなかったものを工夫して両方を1つのエンジンで実現させている点です。具体的な構造としてはエンジンは2つの部分に分かれており、ターボジェネレータが電気モーターを駆動して電力を生成し2つ目の電気モーター セットに電力を供給。コンプレッサーとターボファンを個別に駆動させるためエンジンは圧縮される空気の量を変更することができ燃焼に使用できる圧縮空気の量も変更できる…という言葉だけではよくわからない構造になっています。
この中核となっている電気モーターは電気自動車で使用されているものと同様の高性能電気モーターでコンプレッサーを機械的に独立して駆動しているとしています。
エンジンの高効率化
現在一般的な旅客機は高バイパス比ターボファンエンジンが搭載されており全面の巨大なファンを回転させその推力の大半を生み出しています。いわゆるエンジンの排ガスとなる排気流による推力はかなり少ないものです。地上から亜音速での効率は良いものの通常音速飛行は得意としません。戦闘機は低バイパス比ターボファンエンジンを搭載することでよりターボジェットエンジンに近いものにして排気流による推力を高め超音速飛行を実現させています。一方、ターボジェットエンジンは構造は似ているものの異なります。このジェットエンジンは排気流により100%の推力を生み出しています。例えばコンコルドにもこのターボジェットが搭載されていました。しかし低速域での燃費は非常に悪いものでゲートから滑走路までの地上走行だけで実に2トンもの燃料を消費していたとされています。
高速飛行に優れるターボジェットエンジン、燃費にも優れるターボファンエンジン、そのいいとこ取りのようなエンジンが低バイファパス比ターボファンエンジンということになりそうですが、ターボエレクトリック・アダプティブ・エンジンはいいとこ取りではなく理論上は両方の機能を持っている…?ということになります。
I've kept a pretty low (online) profile of what I'm building, but word's getting out.
— Ian Brooke (@k2pilot) February 29, 2024
My company Astro Mechanica has invented a new kind of jet engine. Unlike any existing engine, it's efficient at every speed. Because it's efficient at every speed, we can use it in a new way:… pic.twitter.com/YecrslCiPZ
同社によると仮に同じようなスペックのエンジンをコンコルドに搭載していた場合、飛行距離は61%程度伸びていただろうとしており効率の高さを示しています。
現在同社の開発は第 1 世代プロトタイプ エンジンを開発しておりすでに900m/s、3,240 km/h、マッハ 3という驚異的な速度を実証しています。
「でもこのエンジン高いんでしょ?」というそこらの企業にありがちな余計な付加価値と高価格も付けてくるときがあるのですが違います。同社によると現在運用されている例えば旅客機のエンジンと比較するとターボエレクトリック アダプティブ エンジンは大幅に安価に製造することができるといいます。それは可動部品が少ないという点もあり更にメンテナンス費用もおそらく安くなると主張しています。
Standby: Engine loading in progress... pic.twitter.com/oPwtgPCvQV
— Astro Mechanica (@AstroMechanica) June 8, 2024
そして燃料です。このエンジンは液化天然ガス (LNG) で稼働するように設計されており従来のジェット燃料の10分の1の価格で単位重量あたりのエネルギーが多く、燃焼時の CO2 排出量も30% 少なくなることが予想されています。このエンジンのデメリットかつ最大懸念があるとすれば耐久性がどのくらいなのかという点です。
同社は現在ターボエレクトリック アダプティブ エンジンと通常のターボファンエンジンを搭載した実験機を作り東京・サンフランシスコ間を超音速飛行させ実用化を目指したいとしています。なみに同社の従業員はわずか8人です。