ラムローターデトネーションエンジン_1

航空機や宇宙船の速度はエンジンに大きく左右されるのですが、今回は最近注目されている新しい仕様のデトネーションエンジンです。中国航空学ジャーナルに掲載された論文として、回転させる構造を追加することでマッハ5を超える速度を実現させることができるとしています。

中国北京の清華大学の教授が考案したのは幅広い速度域にわたって効率的に燃焼可能な回転デトネーションについて、更に効率を改善できるという案です。本質的にはエンジン内部でリング状に回転しながら点火する回転デトネーションエンジンと同じですが、ラムローターデトネーションエンジンは文字通りクルクルと回転する文字通りローターを搭載することでより高い熱力学敵効率を実現できるといいます。

The ram-rotor detonation engine: A new era of hypersonic propulsion
https://newatlas.com/aircraft/ram-rotor-detonation-engine-hypersonic-propulsion/

理論上の数値としては他のデトネーション エンジンよりもかなり高い効率でマッハ 5 以上 (時速 3,836 マイル / 6,174 km) の極超音速飛行が可能だとしており、空気を圧縮するラム ローターについても通常の回転デトネーションエンジンより大幅に遅い速度でデトネーションに適した燃焼条件を作り出すことができるとしています。

▼一般的な回転デトネーションエンジン。リング上に3点が燃焼していることが分かる。ラムローターはこの燃焼をブレードで挟まったローター内部で行うことで効率的な燃焼を行うという構造らしい


▼既に試験されている回転デトネーションエンジン


このように回転デトネーションエンジンは研究が進み試作もされていますがラムローターデトネーションエンジンは試験されていません。もちろんデメリットも存在します。まず空気を圧縮させるローターを回転させるには別に動力が必要です。更に構造的にも極めて頑丈に作る必要があります。またエンジンの重量が増すため強度を得ながら軽量である点も考慮しなければなりません。

このラムローターは圧縮、デトネーションポイント、および単一のローター内での燃焼ガスの膨張を制御する心臓部であもあるため耐久性についても問題はあります。その点から例えばミサイルやロケットといった超音速兵器の上段部分で運用することは可能と考えらます。