APKWS II

安価なドローンが高価な兵器を破壊している現代。この空中を飛び交うドローン対策は必須なのですが問題なのはどうやって対処するかです。アメリカ空軍では2019年頃よりロケットポッドから放たれるハイドラ70 ロケット弾に空対空仕様に変更した安価なAPKWS IIが既に実戦投入されています。

一般的に空対空ミサイルは戦闘機や爆撃機といった有人機を対象に開発されました。しかし現在は無人機、巡航ミサイルなどときて更に小型で安価なドローンにも対応することが求められています。

F-16s Have Been Using Laser-Guided Rockets To Shoot Down Houthi Drones
https://www.twz.com/air/f-16s-have-been-using-laser-guided-rockets-to-shoot-down-houthi-drones

問題になるのはコストです。空対空ミサイルは高性能化しているものの一発あたりのコストはAIM-9Xであれば42万ドル、安価な日本円で換算すると約6500万円と余裕で一軒家が建つレベルのものが使用されています。更にAIM-120 であれば一発あたり100万ドル、1億5000万円です。

高価な兵器を安価なドローンに使用するのは非常にナンセンスであり代替兵器というものが求められていました。今回紹介するAPKWS IIはこれらよりも性能は劣るものの遥かに安価な70mmロケット弾、ヘリなどで運用されるハイドラ70の改良型となっています。

APKWS IIは空対空ミサイルとして一発あたりのコストはわずか1万5000ドルに誘導と制御システムがプラス数千ドルとなっており約2万ドル、300万円程度です。ハイドラ70との違いは前と後ろに誘導や制御装置が搭載されているか否かです。



この兵器は既にアメリカ空軍で運用されています。2024年12月には中東の最高空軍司令部である米中央空軍司令部(AFCENT)により、紅海上空で空対空に特化した装備と思われる2機のF-16Cが給油している写真を公開しています。装備は1機はAIM-120 2発、AIM-9X 2発、旧型のAIM-9M 2発を装備。もう1機はAIM-120 2発、サイドワインダー各1発、7発装填の70mmロケットポッドにAPKWS IIを搭載していました。中東以外にも日本の米軍基地で運用されているF-16にもこの兵器が搭載されている様子が既に確認されています。

APKWS IIと通常の空対空ミサイルの差は高度な誘導・姿勢制御を行うことができずあくまで直線飛行するようなドローンや亜音速を飛行する巡航ミサイルしか狙えない点です。もちろんハイドラ70の改良型であるため射程も大幅に短い欠点があります。

既にウクライナでは車両搭載型のAPKWS IIが運用されておりシャヘッド型ドローンを撃墜する様子が確認されているなど実践経験から改良が行われている兵器ということになります。