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先月末、アメリカ航空母艦ハリー・トルーマンからF/A-18Eスーパーホーネットが海に転落するという発表がありました。前代未聞の出来事に関して、この時、航行中の空母が急旋回していた航跡が人工衛星により撮影されていたことが明らかになりました。

この事故は2025年4月28日、アメリカ海軍の正式な声明として中東のイエメン、スエズ運河の出入り口となる紅海に展開した空母ハリー・S・トルーマン(CVN-75)から牽引車に引かれていたF/A-18Eスーパーホーネットの双方が海に転落したというものです。

この事故についてはCNNの報道によると、空母は当時イエメンの反政府組織フーシから放たれたミサイル攻撃を回避するために急旋回していたと報じていました。つまり牽引車の操縦ミスなどで落下したのではなく、空母が大きく舵を切り急旋回・回頭したことでずれ落ちる形で海に振り落とされたということになります。

問題はこの報道が事実なのかという点です。同様の事故は少なくともここ20年、私が知る限り発生しておらず、別の要因で発生したのではないかと疑う事故だったためです。

しかし最近、欧州宇宙局(ESA)が運用するセンチネル-2衛星がこの空母が急旋回する様子を公開。つまりアメリカ海軍やCNNなどが発表していた内容が事実であることが明らかになりました。

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Copernicus/Sentinel Hub

航跡はこのように360度急回頭する様子が見えてきます。分析すればハリー・S・トルーマンの本当の機動力が見えてきてしまう軍事機密に等しい衛星写真にもなってしまうのですが、このような行動で艦載機が振り落とされた、もしくは艦艇が大きく傾いたことで縛られていなかった機体が転落したということになります。

当然、空母が急回頭するときはアラームや何らかの警告がでると考えられるのですが、それも間に合わない位置を移動していたことが伺える事故です。

今回空母がこのような動きをしたとう報道も非常に珍しいのですが、いずれにしてもフーシ派のミサイルが空母に向けて飛翔していたためこのような行動にでたということになるのですが、米海軍側はこれについて一言も言及はしていなかったとも報じられています。

いずれにしてもフーシ派の攻撃は当たらなかったのですが、フーシ派らがアメリカ海軍の空母に対しても攻撃しているという事実が明らかになりました。