S8000

ウクライナに侵攻したものの返り討ちに遭い、今は東部地域の侵略に成功したロシア。この戦争で新しい兵器がいくつか投入されている事実も明らかになっているのですが、その中でもS8000という最近投入されたものをウクライナ当局が公開しています。

このS8000はウクライナ国防省情報総局(GUR)により初めて明らかになったロシアの兵器です。バンデロールとも呼ばれているこの兵器は無人攻撃機、オリオン無人航空機から発射されているのではないかと考えられており、製造しているのは無人機企業のクロンシュタット製としています。

New Small Russian Cruise Missile Captured By Ukrainian Intelligence
https://www.twz.com/air/new-small-russian-cruise-missile-captured-by-ukraine-intelligence

ウクライナ側によるとS8000は小型ジェットエンジンを搭載した展開式の主翼を備えた巡航ミサイルです。射程はおよそ500kmあり、速度500km/h。弾頭の重量は250ポンドとみられています。またS8000はロシアが保有する巡航ミサイルよりも機動性に優れていると主張しており、ウクライナの防空システムをより回避しやすい飛行特性を持つことを示唆しています。

S8000についての実戦使用の例については言及していないものの、ウクライナ領内で墜落または撃墜した後に回収した比較的状態のようミサイルの入手に成功しています。未確認の情報によるとこのミサイルはウクライナ南部の標的への攻撃に複数回使用されたとしています。

S8000_1

一方でウクライナ側が以前から訴えているのはロシアに電子パーツを輸出している外国についてです。ロシアはまともな電子パーツを作る事ができないことはこれまでの兵器からも明らかになっており、S8000からも約30社が20以上の主要部品を提供されていたことがわかっています。

S8000エンジン

特に動力のエンジンは中国のSW800Proジェットエンジンが用いられている他、RFD900xテレメトリモジュールはオーストラリアかコピーした中国製、慣性航法システムは中国製、バッテリーは日本の村田製作所サーボドライブは韓国RobotisのDynamixel MX-64ARが搭載されていました。その他の細かい電子パーツについては米国、中国、スイス、日本、韓国などとなっています。

もちろん中国を除き日本や韓国がロシアと直接取り引きして輸出はしていません。ではなぜ侵略国家のロシアに渡っているのかについては、他国を迂回する形、そして野放しとなっている中古市場から流通しておりその大きな市場を占めているのはもちろん中国です。

ちなみにW800Proジェットエンジンは AliExpressのウェブサイトで約16,000ドルで購入することができ、主に航空模型愛好家向けに世界に輸出されていることから入手は極めて容易です。