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地球から最も近い天体、月。最近その南極に水の氷がある可能性が強く疑われ各国が力を入れています。しかしそこに送られる無人着陸船については目安として1/2が墜落、失敗している現実があります。

1969年にアポロ計画では人が月面に降り立ち、一度も失敗することもなく打ち上げた人をすべて地上に戻すことに成功しました。それから既に50年以上、遥かに優れたセンサーが開発され、スマホでも数万倍以上の性能があるコンピュータを利用しているのですが、現在も月面着陸船の着陸は非常に困難なものになっています。

Almost half of Moon missions fail. Why is space still so hard?
https://theconversation.com/almost-half-of-moon-missions-fail-why-is-space-still-so-hard-211914

先日インドのチャンドラヤーン3号が月面着陸に成功し、ソ連、アメリカ、中国に続き4カ国目の成功となりました。しかし最近も失敗は相次いでおりイスラエル、日本、そしてロシアが月面に激突しています。なぜこれまで高度に発達した機器を搭載しているにも関わらず着陸程度も行えないのでしょうか。

▼月面に残された探査機の衝突痕
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無人で行う月面着陸ミッションについてその成功率は50%強となっており、目安としては1/2で失敗します。それどころか月の周回軌道、つまり月の周りをぐるぐると回るだけのミッションでも成功率が40~70%とそもそも月軌道に到達できる確立がまだ100%近くなっていないといいます。

その原因は技術的な困難や経験の不足、さらには各国の政治情勢が左右してくるといいます。そもそも私達人類が地球以外の天体に物体を着陸させた実績そのものが非常に少ない点です。そのためノウハウがないことが多く、発生しうるトラブルに対処できなかったりすると着陸までの短時間で墜落という事態を引き起こします。

例としてはイスラエルです。イスラエルのベレシート月着陸船はエンジンのブレーキ操作中にジャイロスコープが故障しました。このことで姿勢制御ができなくなり、通信が途絶えたことで地上管制員がコンポーネントをリセット操作できずに墜落しました。

一方で、なぜアポロ計画では全員が地上に戻ることができたのか。成功率は98%(月周回軌道も含めて?)と極めて高くなっているのですが、背景にはアメリカの技術力もあるのですが、人が乗り込むということで乗員の安全性が最優先される設計となるため無人よりもより多くのリソースが割り振られることでトラブルにも強くなるとしています。もちろん人間が実際に操縦することも可能でありその場でトラブルに対応できるという理由もあります。

何れにしても現在も月面の無人着陸は非常に困難になっているのですが、そこには月面着陸に一体どのくらいお金とリソース、シミュレーションを繰り返しているのかが結果を左右している可能性が高く、妥協した甘い機体設計を行えば結果は月面に新しい衝突痕を作ることと、信頼喪失という重い代償を払うことになる…ということになります。